面白い本を読みたい?なら、池澤春菜さんの書評を聴けばいいじゃない。
ここでは、池澤春菜さんがラジオ番組「アフター6ジャンクション」に出演した内容をまとめています。番組出演回のポッドキャスト情報や池澤春菜さんがオススメした本を紹介します。
【ラジオ出演回まとめ】聴けば本を読みたくなる!池澤春菜さんの書評回まとめ
池澤春菜さんのプロフィール
本題に入る前に、簡単に池澤春菜さんについて紹介します。
池澤春菜さんは声優、歌手、エッセイストとマルチに活動。年間300冊もの本を読破する本の虫。特にSFやファンタジーに造詣が深く、日本SF作家クラブの20代会長(2020年9月~)も務める。また、父は芥川賞作家の池澤夏樹、祖父は福永武彦と文学一家の生まれです。
著作には「乙女の読書道」「SFのSは、ステキのS」、「台湾市場あちこち散歩」(ガイド本)等。2020年6月には父、池澤夏樹氏との共著「ぜんぶ本の話」も出版しています。
池澤春菜さんの書評を推す理由
「聴いた人はきっとその本を読みたくなる。」
池澤春菜さんの書評はそれだけの力があります。熱量が高いだけでなく、紹介する本のあらすじや著者の経歴といった周辺状況も丁寧に解説。そして何より、紡がれる言葉が美しいのです。
ここでは各出演回のポイントを紹介していますが、ぜひ音声コンテンツもチェックしてくださいね。
このページでは「ラジオクラウド」というサービスへのリンクを貼っています。ラジオクラウドはスマホアプリのみで使用できるポッドキャストサービス。
スマホでしか聴けないのは少し不便。ですが、このアプリでしか聴けない貴重なコンテンツもあります。ちなみにここで紹介している初出演~5回目までの書評はラジオクラウドのみで聴けますので、ぜひチェックしてみてください。
1.「秋の推薦図書」(2018年11月6日)
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[ラジオクラウドURL]
https://nhsw9.app.goo.gl/7zJkgrUfvx7NSf3t9
・「ハロー・ワールド」(藤井太洋)
・「零號琴」(飛浩隆)
池澤春菜さんの初出演回です。秋の推薦図書ウィークとしておすすめ本を3冊紹介。
本を年間300冊読んでいることや、小学生の頃は学校の図書館の本を読みつくして親に「転校したい」と申し出るエピソードも紹介されます。
そして何より、池澤春菜さんのプレゼンの凄まじさが際立ちます。
端正な白昼夢を見ているような本(オブジェクタム)
凄まじい情報量が重なり重なってとんでもないところまで持っていく(零號琴)
このように言葉の紡ぎ方がとても美しく魅力的。
パーソナリティの2人が池澤さんの話にグイグイと引き込まれていく様も聴きどころです。
2.「2018年のベスト小説」(2018年12月11日)
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・「アイアマンガー3部作」(エドワード・ケアリー)
・「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」(ケン・リュウ/編)
この回のテーマは「今年(2018年)のベスト小説」。ブラックコミュニティの探偵もの「IQ」(2019年には2巻も発売されています)、イギリス人作家のエドワード・ケアリーによる「アイアマンガー3部作」、中国の現代SFをまとめた「折りたたみ北京」、今回紹介の3作はすべて翻訳作品。
「IQ」は、ありきたりな言葉ですがクールでカッコいい主人公が魅力的です。「折りたたみ北京」の1編は「三体」として後日日本でも刊行されて、10万部を超える大ヒットにもなりました。
また、池澤さんが特に推していた「アイアマンガー3部作」はぜひ読みたい!のですが、価格がネックで未だ手がでず…。でも買わなければ!
ということで、翻訳ものはちょっと苦手、という人も手に取って間違いない本だと思います。
3.「美しい物語」(2019年1月29日)
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・「うつくしい繭」(櫻木みわ)
・「不気味な物語」(ステファン・グラビンスキ)
・「すべての、白いものたちの」(ハンガン)
3回目の出演のテーマは「美しくも恐ろしい、恐ろしいほどに美しい物語」。
今回はテーマ通り少しダークな側面を持つ本を紹介しています。
それに合わせて話し方や声のトーンもいつもより抑えているのはさすが声のプロといったところ。
また、通常は3作品の紹介ですが今回はコーナーの終わりにもう1作(すべての、白いものたちの)を駆け込みで紹介しています。わずか1分足らずの紹介でしたが、短時間の紹介でもここまで魅力的に伝えられるのか!と感嘆しました。
ラジオだからこそわかる話し方の違いはぜひ放送内容を確認してみてほしいです。
4.「あなたの世界が変わる物語編」(2019年3月26日)
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・「砂糖の空から落ちてきた少女」(ショーニン・マグワイア)
・「七色覚」(グレッグ・イーガン)
4回目のテーマは「あなたの世界が変わる物語」。この回の聴きどころは何と言っても、「宿借りの星」の紹介時の池澤春菜さんによる朗読。この本にとって最良の紹介方法だと思いましたし、何より読みが上手い!朗読が進むにつれてどんどんドライブしていく感覚が凄いです。まったく噛まないのもさすがです。
「砂糖の空から落ちてきた少女」は不思議のアリスやオズの魔法使いの主人公たち。つまり、あちら側へ行ってしまった子どもたちのその後を描いたファンタジー。巻数物なのでぜひ1巻「不思議の国の少女たち」から読んでみてください!
色覚をアプリのように自身にインストールする「七色覚(「ビット・プレイヤー」収録作)」は近未来SF好き間違いない1冊です。
5.「3人の人物編」(2020年2月4日)
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・「モスクワの伯爵」(エイモア・トールズ)
・「ネバームーア モリガン・クロウの挑戦」(ジェシカ・タウンゼント)
前回より約1年ぶりの出演です。今回は「3人の人物を紹介したい」という語り出しでおすすめ本を紹介。
「おちび」は2回目の出演時に推していた「アイアマンガー3部作」エドワード・ケアリーによる伝記。蝋人形作家であるマダムタッソーの生涯を描いた作品。
「モスクワの伯爵」は32年間一つのホテルに軟禁された伯爵をえがいたフィクションで、「ネバームーア」は闇宵時という最悪の運命の元に生まれてしまったモリガンの物語、少しファンタジーの要素も入った作品。
この回の聴きどころは冒頭のトーク。1年ぶりの出演となった理由と、この間に体験した内容をサラッと語るあたり、池澤春菜さんはやはりただならぬ人だと感じました。
また、聴き手が宇内梨沙アナウンサーというのも注目です(宇垣さんはお休みでした)。池澤春菜さんのプレゼンが宇内さんにどう響くのかもぜひ確認してみてください。
6.「こんな時世に読みたい本」(2020年5月12日)
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[Spotify URL]
・「読書嫌いのための図書室案内」(青谷真未)
・「ホテル・アルカディア」(石川宗生)
6回目の出演は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の真っただ中。テーマは「この時世だから読みたい本」を紹介しています。
着せる本は、著者の内澤さんが身の回りの男性のスーツ選びを手伝った内容を綴ったエッセイ。「読書嫌いのための図書室案内」はひょんなことから読書新聞を作らなければならなくなった、読書嫌いの荒坂浩二くんと本の虫の藤生蛍さん物語。「ホテル・アルカディア」は千夜一夜物語のような小編集(注:短編よりもさらに短い物語)。
この回の聴きどころは池澤春菜さんの読書論を垣間見ることができるところ。「私にとっての本とは何か」というもう一つのテーマの解説は必聴です。
2020年9月にBunkamura第30回ドゥマゴ文学賞が発表されました。なんと20年はこの放送で紹介したホテル・アルカディアが受賞!目利きとしての池澤春菜さんの実力を裏付ける出来事です。
7.「池澤夏樹さんと親子でおすすめ本を紹介」(2020年6月23日)
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https://nhsw9.app.goo.gl/jBcJWsSuECea1YFV8
[Spotify URL]
・「あの本は読まれているか」(ラーラ・プレスコット)
2020年6月23日は池澤春菜さんの父親で芥川賞作家でもある池澤夏樹さんと2人揃ってリモート出演。親子共著の「ぜんぶ本の話」刊行記念として20時台の特集コーナーに登場。後半(ポッドキャストの42分頃~)に「最近読んだ面白い本」というテーマでそれぞれ1作ずつ本の紹介をしています。
池澤春菜さんは「ザリガニの鳴くところ」、池澤夏樹さんは「あの本は読まれているか」。期せずして、どちらもアメリカ人著者の翻訳本を紹介しています。
この放送回では池澤春菜さんが「ザリガニの鳴くところ」の紹介中、池澤夏樹さんが話に割って解説してしまうところが聴きどころ。仲の良いお二人のやりとりが微笑ましく、羨ましく感じる放送でした。
8.「20年9月のオススメ小説」(2020年9月15日)
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[Spotify URL]
・「時のきざはし 現代中華SF傑作選」(立原透耶/編)
・「その裁きは死」(アンソニー・ホロヴィッツ)
20年9月は3冊の小説を紹介。
池澤春菜さんに「沢山の沢山の沢山の本を読んできたけれど、その中でも屈指の美しいエンディング」と言わしめた「歓喜の歌 博物館惑星3」。
小説「三体」の大ヒットでその存在感を高めている中国SFのアンソロジー集「時のきざはし」。
イギリスの作家アンソニー・ホロヴィッツその人自身がワトソン役をつとめるミステリー小説「その裁きは死」。
この回ではストレートにとびきり面白い小説を持ってきた!といった感じ。個人的には「歓喜の歌」はシリーズ3冊を手に入れようと思います。地球の衛星軌道上にある博物館の星、という設定に惹かれます。
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9.「クレストマンシー」シリーズ(2020年11月3日)
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・「魔法使いは誰だ 大魔法使いクレストマンシー」(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)
・「クリストファーと魔法の旅 大魔法使いクレストマンシー」(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)
・「トニーノの歌う魔法 大魔法使いクレストマンシー」(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)
20年11月は毎日ゲストを招いてオススメの1冊を紹介する「アトロク秋の推薦図書月間」。池澤春菜さんは1冊、ではなく「大魔法使いクレストマンシー」シリーズを紹介しました。
池澤春菜さんが生涯で一番好きな作家、ダイアナ・ウィン・ジョーンズによるシリーズ作品(全7巻)。日本ではダイアナ・ウィン・ジョーンズは「ハウルの動く城」の著者として知られています。
本作の舞台は12の系統×9つの世界が存在する並行世界。強い魔法の力を持つクレストマンシーがそれらの世界の監査をしている、というストーリー。
放送では池澤さんがダイアナ・ウィン・ジョーンズの短編集の解説を書いた際のエピソードや、宇垣美里さんも本シリーズの愛読者であった話を聴くことができます。
10.「修道女フィデルマ」シリーズ(2021年3月9日)
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・修道女フィデルマの洞察 (ピーター・トレメイン)
・修道女フィデルマの探求 (ピーター・トレメイン)
・修道女フィデルマの挑戦 (ピーター・トレメイン)
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まとめ
面白い本を探しているなら、池澤春菜さんの書評を聴けばいいじゃない!
それだけ池澤さんの本のプレゼンを私は魅力的に感じています。それに、実際に本が家にどんどん増えています。いわゆる積読になっているのもの多いですが…。
↑「零號琴」はかなりのボリュームで購入して数か月間は読みだせずにいました…
また、池澤さんはその語りも魅力的なのですが、商品を選ぶ目利きとしてもその実力は確かなものです。
初回に紹介した高山羽根子さんは芥川賞を受賞。2回目に紹介した「三体」(「折り畳み北京」に一部収録)は日本では異例のシリーズ20万部を超える大ヒット。20年5月に紹介した「ホテル・アルカディア」はわずか数ヶ月後にドゥマゴ文学賞を受賞など、事例を上げればきりがないほど。
こうした、とっておきのオススメの本をてらいなく紹介する姿勢も素晴らしいのです。
「面白い本が読みたいのでオススメの本が知りたい」
「普段は読まない作家の作品も読んでみたい」
そんな人は、池澤春菜さんが紹介したぜひ放送アーカイブを聴いてみてください。きっと読んでみたい本が見つかるはずですよ。