池澤春菜さんのオススメ本紹介10「修道女フィデルマ」シリーズ/ 推しポッドキャスト紹介

今回は古代ケルトを舞台にしたシリーズの紹介です。

池澤春菜さんがTBSラジオの番組「アフター6ジャンクション」に出演した回の音声アーカイブを紹介。2021年3月9日の登場回では「修道女フィデルマ」シリーズを紹介しています。

過去の池澤春菜さんの出演回については、以下の記事まとめています。

【ラジオ出演回まとめ】聴けば本を読みたくなる!池澤春菜さんの書評回をまとめました / 推しポッドキャスト紹介

池澤春菜さんのオススメ本紹介10「修道女フィデルマ」シリーズ/ 推しポッドキャスト紹介

タイトル オススメの小説 by 池澤春菜さん
番組名 アフター6ジャンクション
放送局 TBSラジオ
放送日 2021年3月9日(火)
時間 23分
放送アーカイブ Spotify、ラジオクラウド、他

出演者

レギュラーパーソナリティ ・ライムスター宇多丸(メインパーソナリティ)
・宇垣美里(曜日パートナー)
特集ゲスト 池澤春菜(声優、歌手、エッセイスト、日本SF作家クラブ第20代会長)

2021年3月は、番組内のカルチャートークというコーナーで池澤春菜さんがゲスト出演。オススメのシリーズを紹介しました。

放送内容の要約

書名 修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集
著者 ピーター・トレメイン/著 甲斐万里江/訳
出版社 東京創元社
本体価格 本体860円+税
商品コード 978-4-488-21811-9

法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。巡礼として訪れたローマの教会で聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死、偶然居合わせたフィデルマが犯人を突きとめる「聖餐式の毒杯」ほか、宿屋の幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、大王位継承をめぐる事件に挑む「大王の剣」など、バラエティ豊かな5編を収録。

「修道女フィデルマ」は本国イギリスで32冊刊行されている人気シリーズ。日本では短編4冊含む12冊を邦訳で刊行。本作は古代ケルト(7世紀のアイルランド)を舞台にしている。

著者のピーター・トレメインはケルト学者。学術書を書いていたり学会の理事も務める。本書に書かれている社会の仕組みや法律は著者の学識がベースとなっている。

この放送では池澤春菜さんが「修道女フィデルマ」シリーズについて3つの魅力を紹介しています。

1.フィデルマがつよつよ!

主人公のフィデルマはもの凄い美人、かつ王の妹。優れた知性も持ち合わせており、ドーリーと、アンルーという資格も持っている。ドーリーは現代で言う法廷弁護士かつ裁判官に相当する資格。アンルーは上位弁護士の資格で、諸王国の王様と対等に話すことができる。さらに護身術にも長けている。

つまり、社会的な地位に知性面、さらに物理的にも強い。でも、嫌味のないキャラクターが本作の主人公「フィデルマ」。そんな魅力的な主人公が様々な事件を解決していく探偵ものが「修道女フィデルマ」シリーズです。

2.ブレホン法がかっこよき!

ブレホン法とは7世紀の古代ケルトの法律。

・王様は世襲ではなく選挙で決める
・性差別がない、女性でも能力があれば軍の指揮ができる等
・3年ごとに改正を繰り返す

このように、現代から見ても非常に合理的な法律となっている。

フィデルマも王の妹だが、ブレホン法のもとでは彼女の才能を自分自身で証明し続ける必要がある。
また、フィデルマは法律家とキリスト教の修道女の二つの立場があり、その間で葛藤する場面も。フィデルマのかっこよさの廃位系にあった古代ケルトのブレホン法がカッコイイ。

3.古代アイルランド版「水戸黄門」

フィデルマは若いこともあり、物語の中で侮られがち。そんな時に「ドーリー」という資格が水戸黄門の印籠のように機能する。”なめてた若い美女が超できる法の執行者だった”という展開。ただ、王の妹という立場は使わず、自分自身の力で勝ち得たものだけで世の中と戦っていく。

ジェンダーバランスで社会が揺れている今だからこそ、このシリーズから学べるものがあるのではないかと思う。

水戸黄門について

水戸黄門(みとこうもん)とは、権中納言である江戸時代の水戸藩主・徳川光圀の別称かつ、徳川光圀が隠居して日本各地を漫遊して行なった世直し(勧善懲悪)を描いた創作物語の名称。

ご存じの人も多いとは思いますがちょっとだけ補足。水戸黄門はシリーズ物の時代劇。いわゆる偉い人が一般人に扮して旅をする物語。物語の後半、悪人に対して「控え居ろう! この紋所が目に入らぬか」と徳川家の家紋が入った印籠を掲げ、正体を明かすところまでが定番の筋書きです。

本放送内で宇多丸さんが「水戸黄門は立場を利用しているだけ」的な発言をしているとおり、今回紹介する「修道女フィデルマ」シリーズとは逆のベクトルのストーリーです。

シリーズ入門は短編から

古代アイルランドの歴史や国の関係や宗教など、背景を理解できる。まずは出ている4冊の短編で頭をならし、そこから長編を読んでみるのが良い。

まとめ

この回で池澤春菜さんは「修道女フィデルマ」シリーズを紹介。事前にパーソナリティ2名も読了済みのため、池澤春菜feat.宇多丸&宇垣美里、といった具合で3名によるプレゼン、といった内容となりました。

・こんなに魅力的なキャラクターがいる本を教えてもらえてよかった
・古代ケルトという社会舞台そのものも興味深い
・動画配信サービスで映像化されたら絶対に売れる!

このように、パーソナリティの二人も絶賛の「修道女フィデルマ」。この3名にここまで推されたら読まざるを得ないのが現状!といったポッドキャストです。

ここで紹介したのは放送の一部なので、興味を持った方はぜひ音声アーカイブもチェックしてみてくださいね。

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