重要なのは実力、ではなくて”錯覚資産”。
今回は自分史上、この本に出会えて心底良かった!と実感した書籍。そして、できることなら、本当は他の人に読んでもらいたくない本。『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ダイヤモンド社)書評です。
【書評】人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
(2023/10/04 16:52:19時点 Amazon調べ-詳細)
書名 | 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている |
著者 | ふろむだ |
出版社 | ダイヤモンド社 |
本体価格 | 1,500円+税 |
商品コード | 978-4-478-10634-1 |
実力を魔くよりも、はるかに人生を好転させる「錯覚資産」とは何か?ネット上で何百万人もの感情を揺さぶり続けたモンスター・ブロガー衝撃のデビュー作。
-商品紹介ページより
著者のふろむださんは2005年に開設し延べ数百万人に読まれたブログ「分裂勘違い君劇場」の中の人。また、複数の企業を創業(そのうち一社は上場)するなど、マルチに活動。本書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』は初の著書です。
できるだけ若いうちに読んでほしい本
「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」は、とにかく若いうちに読むべき本です。めちゃくちゃ実用的な心理学本な上、対話形式で読みやすい。そして読んだその日から実践できる。わたしにとっては、人生観が変わったといっても過言ではない本です。
わたしが本書を読んだのは20代後半でしたが、本当ならもっと早く出会いたかった(と言っても発売当初に手に入れたのでムリな話ですが…)と思っています。
そして、これから10代や20代前半の内に本書を読むことができる全ての人が心の底から羨ましい、いや、恨めしいとすら思っています。自分で紹介しておいて勝手な話ですが。
特に学生の方や社会人になって日が浅い人は必読。というのも、本書は実力主義の欺瞞(ぎまん)を暴いた内容になっているからです。
錯覚資産は社会人の必須スキル
「学生と社会人は違う」
上のような言葉をよく目にしますよね。ただ、具体的に何が違うのか。人によって解釈が異なりますが、わたしは個人を評価する物差しが違う、と感じています。
例えば学生は実力(=学力)を高めれば正当な評価を受けられます。テストの点数や偏差値といった数字を基準とした平等な評価方法だといえます。
しかし、社会人になると実力があっても正当な評価を受けられる保証はありません。
まず、他人に評価される、という点で大きく異なります。仕事の成果が出ていても上司に嫌われていると悪い評価を下されることも(もちろん、その逆のパターンもあります)。
人が人を評価するという、不確定な要素。しかし、これを逆手に取るのが本書のタイトルになっている「錯覚資産」の活用なのです。
実力主義、成果主義という言葉をよく耳にします。ですが、私は結局人が人を評価する時点で机上の空論だと実感しています。例えば、上司には気に入られているけど全然仕事ができない人が昇進して、マジメに実績を積み重ねている人が報われない。これは私の職場の事例ですが、どの会社でも同じような事例はたくさんあるはずです。
“思考の錯覚”を味方に付ける
突然ですが上の写真を見てください。
ただの石の写真、ですが人の顔に見えてきませんか?これは、洋服のジャケットを模した石像の一部。なのですが、気を抜くとすぐに人の顔に見えてきてしまいますよね。
本書ではこのような脳の勘違い(誤作動)を「思考の錯覚」と呼んでいます。
思考の錯覚とは認知バイアスのこと。例えば、ハロー効果は比較的有名な認知バイアスですよね。また、上の写真、三つの集まった点を人の顔と認識してしまうシミュラクラ現象もこれの一種。
会社や学校といった、私たちの日常にはこうした思考の錯覚が蔓延しています。本書では、これらの仕組みを知り、自らの「錯覚資産」として活用する方法について書かれています。
・他人があなたに対して抱く思考の錯覚。
・その思考の錯覚は、あなたにとって都合がいい。この2つの特徴を持った思考の錯覚は、あなたの資産として機能する。
なので、こういう思考の錯覚を、本書では「錯覚資産」と呼んでいる。
-本書p53より引用
例えば、あなたが他人から「仕事がデキる人」という印象を持たれていたとします。しかし、それは相手がハロー効果による勘違いだった。それでも、これはあなたの錯覚資産になるのです。
まとめ
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』は、実用的な心理学の本。思考の錯覚について知っているか知らないかで、成功の可能性は大きく変わります。
若い人もそうでない人も、きっとあなたの人生を変えうる1冊になるはず!気になった人はぜひ手に取ってみてくださいね。
(2023/10/04 16:52:19時点 Amazon調べ-詳細)
また、著者のふろむだ氏は本書の5章までをWebで公開しています。試し読みもオススメです。