雑談が長続きしない。会話を続けたいけれど、なんだか盛り上がず終わってしまう。
そんな、人と話すのが苦手、という人は「相づち」を意識してみるとうまくいくかもしれませんよ。
ということで、今回は話し方のヒントとなる本「誰とでも会話が続く相づちのコツ」を紹介します。
書評「誰とでも会話が続く相づちのコツ」
書名 | 誰とでも会話が続く相づちのコツ |
出版社 | 文響社 |
著者 | 齊藤 勇 |
商品コード(ISBN) | 978-4-86651-156-6 |
価格 | 1,350円+税 |
著者の齊藤勇氏は立正大学名誉教授をはじめその他多くの肩書を持つ、いわゆる心理学の権威。そんな著者による「相づち」の技術を解説したのが本書「誰とでも会話が続く相づちのコツ」です。
なぜ「相づち」が重要なのか
無数にある話し方に関する本のなかで、本書は「相づちに特化した内容」という点で差別化されています。
なぜ「相づち」なのか。著者曰く、日本人の人間関係が「情的人間関係」の要素が強いからだといいます。
「情的人間関係」とは、論理だけでなく情によって左右されるということ。具体的に言うと良好な人間関係を成立させるために共感を示すことが重要だということです。
こういった事、日常生活でもビジネスの場でも思い当たる節がある人も多いのではないでしょうか。
そして、共感を示すために重要な技術が本書で解説されている「相づち」だということです。
超実用的な内容
本書の内容は相づちのフレーズとその用法の解説で半分以上を占めています。例えば第2章では相づちの「さしすせそ」の紹介から始まります。
【相槌の「さしすせそ」】
さ:さすが
し:実力ですね/知らなかった
す:すごい
せ:絶対/センスいい
そ:そうですね/それで
第2章 相槌の基本(P38)より抜粋
そして、相づちのフレーズ紹介だけでは終わらず、各フレーズを実際に使用する場面の解説にもページを割いています。ですので、「相づちのフレーズは知っているけれど、実際の場面でなかなか出てこない」といった事態も避けることができます。
ちなみに私も本書で紹介されたフレーズを実際の場面で活用してみましたが、あまり面識がない人との会話も苦にならず続くようになったと感じました。
心理学で実証された対人スキル
本書の最大の特徴は心理学をベースにしているという点。例えば上で紹介した相槌の「さすが」について、以下のように心理学的な裏付けを解説しています。
アメリカの社会心理学の第一人者のレオン・フェスティンガーは、「人は他の人と自分を比べて、自分の位置を知り、心理的安定を得ようとする」という社会的比較理論を提唱しました。特に、人と比較して自分の方が上であることを確認できると安心するのです。
「さすが」という相槌には、まさにその心理を満たす効果があります。あなたはほかの人より、とび抜けて優秀で、しかも独特の才能があると相手の人から言われて、自己評価を確信することができるのです。
第2章 相槌の基本(P50)より抜粋
このように、なぜこのフレーズが良いのか、またこれらの相づちでどのような効果が期待できるのか等の裏付けが心理学の知識をベースにわかりやすく解説されています。
まとめ
「誰とでも会話が続く相づちのコツ」は心理学の裏付けがあるという点で、ほかの会話術本と差別化がなされています。
会話が続かなかったり、人とのコミュニケーションが少し苦手、という人に特にオススメできる本です。
ただし、実際に読んだ結果「悪用厳禁」だと感じる面もありました。極論を言うと、本書は相手の承認欲求を満たして信頼を得るための裏ワザ集といえる内容。心理学的な効果が実証されているだけに、使い方には注意する必要がありそうです。
ということで「誰とでも会話が続く相づちのコツ」の紹介でした。話し方のテクニックだけでなく、正しいコミュニケーション術として活用してもらいたい1冊。
気になった方はぜひ手に取ってみてくださいね。