「いくつか会計に関する本を読んだけど、よく分からない…。」
そんな人にこそ読んでほしい本です。
今回は会計実務者のバイブルとも言える一冊「財務3表一体理解法」(朝日新聞出版)の書評です。
目次
書評「財務3表一体理解法」
書名 | 増補改訂 財務3表一体理解法 |
著者 | 國貞 克則 |
出版社 | 朝日新聞出版 |
本体価格 | 820円+税 |
商品コード | 978-4-02-273684-0 |
会計学習の世界を変えた画期的勉強法を大改訂!財務3表を見開き2ページにおさめてビジュアル力アップ。貸借対照表の「純資産の部」を初めて詳細に解説し、英文会計の基礎にも言及するなど、内容も大幅に充実・増強。ただし、どこまでいっても基本は不変。取引ごとに財務3表をつくり、5つの「つながり」を確認しながら、会計の全体像と仕組みを学んでいく。初読者も既読者も、そしてすべてのビジネスマン必読!
-商品紹介ページより
「財務3表一体理解法」は初版が2007年5月に出版。以降、今日にいたるまで重版、改訂を行い、累計80万部を超えるベストセラーです。
ちなみに本書は2016年に増補改訂版として出版された版。ちなみに上の写真は2007年の旧版と2016年の増補改訂版の厚さを比較したもの。めちゃくちゃ分厚くなってます。
2021年には増補改訂版の内容を2冊に分けた「新版 財務3表一体理解法」「財務3表一体理解法 発展編」の2冊が改訂版として出版されています。分冊されましたが残念ながら値段は据え置き…。
新版であれば「新版 財務3表一体理解法」から手に取るのがオススメ。発展編は専門的な内容なので、必要な場面で手に取ればよいです。
また、ネットショップでは見つかりませんが、書店ではこの増補改訂版が置いてある可能性もありますので、機会があれば探してみてはいかがでしょうか。
会計の基礎から解説しているので、初学者にオススメ
数ある会計本の中で、なぜ本書がこれだけ売れているのか。それは、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)の財務3表をまとめて学ぶことができる内容になっているからです。
目次「増補改訂 財務3表一体理解法」
第1章 財務3表の基礎知識(なぜ会計が簡単に理解できるのか
第2章 財務3表一体理解法―基礎編
第3章 財務3表一体理解法―発展編(2000年以降に出てきた新しい会計基準)
第4章 さらに理解を深めたい人のために
第5章 英文会計の基礎知識
本書のまず第1章で会計の全体図を理解。その後、2章から5章でより詳しい知識を学ぶ、という構成になっています。
これを歴史の勉強に例えれば、歴史上の出来事とその年号を一つひとつ覚えることによって、 最終的に歴史の全体像が理解できるといった勉強法と、歴史の中の大きな出来事の流れとつながりを押さえて、まずザックリと歴史の全体像を理解するという勉強法の違いだと思っていただければわかりやすいと思います。
-「はじめに」より引用
著者の言葉通り、本書は広く浅いところから学び、徐々に掘り下げて解説。初学者も置いてけぼりにならないよう配慮されています。
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「財務3表一体理解法」は会計を学ぶ上で外せない1冊。しかし、どうしても文字での解説が多くなり、初学者にとっては読み進めるのが大変かもしれません(恥ずかしながら私がそうでした)。
ですので、私は会計を学ぶ第一歩として本書と「会計の地図」(ダイヤモンド社)もオススメしています。「会計の地図」は会計の全体図の解説に特化したビジネス書。図表が多く読みやすいうえに知識もしっかり付く。こちらも会計入門の必読書です。
実際の事業を想定して財務3表の動きを理解する
本書が入門書として10年以上支持されてきたポイント。それは「第2章 財務3表一体理解法―基礎編」にあります。
第2章は日本の漆器類をネットで販売する事業を想定したケーススタディ。会社の設立や商品の仕入、販売、運転資金の借り入れといった取引の事例を学びます。
実際に起こる一つ一つの取引がPL、BS、CFにどのように反映されるのかを図表で解説。まさにタイトルの通り、財務3表の動きをまとめて学ぶことができます。
ちなみに第3章より先は、退職給付会計や自己株式の取得、BSの純資産の部の解説など、難易度は一気に上がります。
初学者なら第二章までで基礎は十分学べるので、第3章以降の内容がよく分からなくても大丈夫です。ちなみに、私も初見ではまったく理解できませんでした…。
著者が会計の専門家”ではない”から分かりやすい!
いわば会計本のバイブルとも言える「財務3表一体理解法」。ですが、著者の國貞克則氏はじつは会計の専門家ではありません。
國貞氏は東北大学卒業後、神戸製鉄所に入社。その後、米国でMBAを取得し日本で「ボナ・ヴィータ コーポレーション」を設立し独立した経歴を持ちます。
会計の専門家ではない著者だからこそ、初学者が躓きがちなポイントを丁寧に解説。ゆえに会計書としては異例の80万部を超えるベストセラーになったのだと思います。
まとめ
「財務3表一体理解法」は会計入門書のバイブルです。
初めて会計を学ぶ人はまさに必読の1冊。わたし自身、会計を学び始めた頃に職場の先輩から本書をオススメされました。当時の私は会計知識ゼロでしたが、まさに霧が晴れるがごとく、会計の全体図をぼんやりと理解することができました。
知識として会計を知りたい人も、経理管理や経理など実務者にもオススメの1冊。ぜひ手に取ってみてくださいね。