自分の考えの偏りを知り、情報選択の質を上げよう!
認知バイアスという言葉を聞いたことがないでしょうか?
「認知バイアス」とは人が情報を処理する際に、過去の経験や先入観、一方的な一方的な偏りが生じる心理現象のことです。このバイアスには様々な種類があり、人々の行動や意思決定に大きな影響を与えることがあります。
今回はそんな認知バイアスを理解するのに役立つ書籍「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」について紹介します。
書名 | 情報を正しく選択するための 認知バイアス事典 |
出版社 | フォレスト出版 |
著者 | 情報文化研究所(山崎紗紀子/宮代こずゑ/菊池由希子) |
監修 | 高橋昌一郎 |
価格 | 1,800円+税 |
『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』は、情報文化研究所に所属する研究者の山崎紗紀子、宮代こずゑ、菊池由希子による著作で同研究所所長の高橋昌一郎が監修した本です。
本書では論理学的アプローチ、認知科学的アプローチ、社会心理学的アプローチの3つの視点から、合計60種類の認知バイアスの概要と具体的な事例で解説しています。また、更に興味を持った読者のために参考文献(推薦図書)も記載されています。
本書の特徴のひとつは、理論的な解説にとどまらず、実際にどのような場面で起こりうるのか、具体的な例を挙げながら解説している点です。また、図表やグラフなども多数用いられ、読みやすさにも配慮されています。
本書に記載されている認知バイアスをビジネスシーンにで起こる課題についても客観的に判断して対処ができます。
チェリーピッキング(本書内、P38)
・好ましいデータを選択的に利用する認知バイアス。
例:報告書で成功事例を強調し、失敗事例を省いて提出する。
確証バイアス(本書内、P164)
・自分が正しいと思う情報を過剰に信じる認知バイアス。
例:自社の製品が良いと信じ込み、市場調査結果を無視して開発する。
ハロー効果(本書内、P186)
・好意的に評価した一部分に基づいて全体を評価する認知バイアス。
例:採用面接で候補者の容姿が優れていると、能力面も高いと評価する。
例えば、チェリーピッキングによって自社の製品やサービスの良い面だけを強調し、欠点やリスクを勘案しないマーケティング計画が組まれることが起こり得ます。また、確証バイアスによって自社の過去の成功体験のみに基づいて現状を分析せずに計画を立ててしまう、といった事例も考えられます。さらに、採用や人事評価においても、候補者の外見や一部の評価に基づいて全体的な評価が行われるハロー効果が起こり得ます。このように、ビジネスシーンでは認知バイアスによって合理的な意思決定が妨げられる場面もあります。
ビジネスにおいて認知バイアスを理解することは、適切な判断や意思決定をするために必要不可欠です。また、他者との対人関係を円滑にする上でも重要です。つまり、認知バイアスはビジネスシーンをサバイブする上でも欠かせない知識だと言えるのです。
認知バイアスは、私たちが物事を正しく見極められない原因になります。しかし、認知バイアスは無意識的に起こるものであり、完全に消すことは難しいもの。
ですが大切なのは、自分や他人がどんなバイアスにかかっている可能性があるかを気づき、それを修正する努力をすることです。そうすることで、私たちはより客観的で合理的な判断ができるようになります。
今回紹介した『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』は情報が溢れる現代で客観的に情報を見極めるための一助となる一冊です。
本書が気になった方、ぜひ手に取ってみてくださいね。