昇進した人の性格が悪くなるのにはやっぱり理由があるらしい/「共感力」(ダイヤモンド社)レビュー

あの人、偉くなってから性格変わったよね。

先輩後輩の分け隔てなく気さくな雰囲気。そんな同僚も偉くなった途端、イヤな上司に早変わり。

こんな出来事に心当たりがないでしょうか。

知人との話題にしたところ、他業界でもよくある現象の模様。

この事象を長年フシギに感じていました。どうやらそれを解くカギはこの本にあるのかもしれません。
今回は「共感力」(ダイヤモンド社)を読んだ感想を書いてみます。

「共感力」はアメリカのマネジメント誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」が贈るEIシリーズ。
本書は同誌に掲載されたEI関連の論文や記事を、テーマ別にまとめたものです。
※「EI」=感情的知性

本書はハーバード・ビジネス・レビューに掲載された共感力に関連する論文、記事を再構成したもの。
最先端の研究結果の記事・論文のエッセンシャル版。要点を掴むのにオススメのシリーズです。

本書「共感力」は11の章立てとなっています。

1.共感力とは何か
2.部下への思いやりは、叱責に勝る
3.優れた聞き手はどう振る舞うか
4.共感が協働を促し、会議の質を高める
5.子育て経験のある上司とない上司、どちらが育児の苦労に共感してくれるか
6.権力を手に入れると、思いやりが薄れる
7.なぜ人は昇進すると横柄になるのか
8.「共感的デザイン」の原則
9.フェイスブックは共感を活用してセキュリティを高める
10.共感するにも限度がある
11.ダライ・ラマがEIについてダニエル・ゴールマンに語ったこと

まさに6,7章で権力と共感力の関係について記されています。

カルフォルニア大学バークレー校で教鞭を執る社会心理学者のダッカー・ケルトナーは、実験に基づく研究を行い、人は権力を持つと他者への共感を欠くということを示した。すなわち、他者の心情をくみ取ったり、自分の行動を他社に合わせたりする能力が下がるのだ。
-6.権力を手に入れると、思いやりが薄れる-

権力を持った人間は、そうでない人よりも無礼で、身勝手かつ倫理にもとる行動を取りやすい。十九世紀の歴史家で政治家であったジョン・アクトン卿が喝破した通り、まさに「権力は腐敗する」のである。
~中略~
人は自己の長所を土台にして出世するが、立場が上になればなるほど、たちの悪い行動を取るようになることだ。この変化は驚くほど急激に起こりうる。
-7.なぜ人は昇進すると横柄になるのか-

人間の脳は権力を持つと自然に共感力が欠如するようになっている。偉くなった人の性格が変わるメカニズムはここにあるようですね。

逆にどうしたら共感力を落とさないようにできるのか。例として以下のように記述されています。

リーダーは、権力の使用が乱用へと変わる道を歩みたくないならば、何ができるだろうか。まず、他者を招き入れるべきだ。
~中略~
しかし、幅広い人々の意見を求めることを忘れてはならない。遠回りの質問(「私はうまくやれているだろうか?」)ではなく、直球(「私のやり方と焦点は、部下たちにどう影響しているだろうか?」)を投げかけるのだ。
-6.権力を手に入れると、思いやりが薄れる-

とは言え、一つ注意したいのがこれは権力を持った当人が自ら進んで実践するということ。
私たちがそんな上司に対して、

「あの人のために、アドバイスしてみよう」
「最近ちょっと態度が悪くなっていると言ってみようかな」

なんて思って行動すると痛い目に合う可能性が高そう。なんとも救いのない話です…。

 

もちろん、本書はこれらの話以外にも興味深い内容が記載されています。

私が特に興味を持ったのが、「5.子育て経験のある上司とない上司、どちらが育児の苦労に共感してくれるか」の章。

これは苦境に陥っている他者に対して、過去に同じ苦境を経験した人は、その経験をしていない人よりも共感を示しにくい。

人の直感って案外アテにならないものですよ、なんて内容です。

正直これには図星を突かれた気持ちでした。私自身「自分にも乗り越えられたんだから、あなたもできるでしょ」って感覚、確かにあるかもしれません。

「共感力」はこれからの時代に重視される能力の一つ

これからのソーシャル時代。コミュニケーションのカギは共感力かもしれません。

…でも共感力がない偉い人が多いのも事実。偉くなりたい人にはそこまで必要な要素ではないのかもしれませんね。うーん、悩ましいところです…。

私は、本書を読んで共感力はあるに越したことがないかな、と感じました。
「共感力」に興味を持った方、より良いリーダーを目指したい方におすすめしたい本でした。
気になった方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

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