部下や後輩とのコミュニケーションを取る際に必要なのが、リーダーシップ・コーチング技術。
そんなビジネスパーソンに必要な技術を学べるのが本書「1兆ドルコーチ」(ダイヤモンド社)です。
実際に読んでみて、リーダーシップ・コーチング書として非常に参考になる内容でした。ここで紹介したいと思います。
目次
「1兆ドルコーチ」の概要
書名 | 1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え |
出版社 | ダイヤモンド社 |
著者 | エリック・シュミット/ジョナサン・ローゼンバーグ/アラン・イーグル/櫻井裕子 訳 |
商品コード(ISBN) | 978-4-478-10724-9 |
価格 | 1,700円+税 |
ーの多くの企業を陰ながらコーチしてきたレジェンド、それがビル・キャンベル。アメフトのコーチから経営コンサルタントという異色の経歴を持っています。2016年に亡くなったビル・キャンベル氏のコーチング技術を体系化したのが本書「1兆ドルコーチ」です。
著者は元グーグル会長兼CEOのエリック・シュミット、元グーグルの上級副社長のジョナサン・ローゼンバーグ、現グーグルのエグゼブティブ・コミュニケーション責任者のアラン・イーグル氏の3名。3名の共著として世界的ベストセラーの「How Google Works」があります。
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ビル・キャンベルの功績
ビル・キャンベル氏とはどんな人なのでしょうか。彼はApple、Google、YoutubeやFacebookといった多くのシリコンバレー企業をコーチとして導いてきた人物。
本書の「1兆ドルコーチ」という書名の由来はビルがシリコンバレーで貢献した価値が1兆ドルを超えることから付けられたもの(AppleとGoogleの2つの企業だけでゆうに1兆ドルを超えます)。
数多くの企業を成功に導いてきたビル・キャンベル氏ですが、本人は表舞台には出ることを好まないため、今までその存在を広く知られることはありませんでした。
シリコンバレーレジェンドのリーダーシップ・コーチング技術が学べる
「1兆ドルコーチは」はビルの教えを受けた80人のインタビューをもとに、ビル自身のこと、マネジメント、信頼、といったテーマ毎のエピソードをまとめた内容です。
具体例として、個人的に印象深いエピソードの一部分を抜粋します。
同じテーブルに着く
1980年代のテック企買は幹部の大平が男性で、女性はとても少なかった。アップルの人事貴任者を務めていたデビー・ビオンドリロは、そうした数少ない女性の一人だった。だが彼女は毎週開かれるCEOのスタッフミーラィングではテーブルに着かず、壁際に並んだイスの一つすわるのだった。ビルはこれにがまんがならなかった。
「そんな後ろで何をしている?」と彼はデビーに言った。「テーブルに着くんだ!」
とうとうある日、デビーはミーティングに早くやってきて、おそるおそるテーブルに着いた。席がどんどん埋まり、デビーの隣にはアル・アイゼンスタットがすわった。~中略~
その日アルはテーブルに着き、隣にデビーがすわっているのに驚いた。「お前さん、ここで何をしているんだ?」彼はぶっきらぼうに尋ねた。
「ミーティングに出るのよ」と、彼女は内心よりも自信に満ちた声で答えた。
「アルは私を何秒かじっと見つめていた」とでビーは言う。「そしてビルのほうを見やった。そのとき、もう大丈夫だと思った。ビルが味方してくれるから」「Chapter4 チーム・ファースト」より抜粋
このエピソードを「女性を積極的に登用すべき」の一言で紹介するのは簡単です。
ですが、インタビューを受けた人がどのような場面で、ビルからどんな風に声を掛けられたのか。実際にあった出来事をもとにして学べるのが本書の良いところです。
Column
日本のビジネス書の多くではやるべきこと、やってはいけないことが明確に書いてあります。
例えば以下のような感じ。
「部下には〇〇のように接する」
「商談の際にじゃ、まず雑談から入る」
私見ですが、このような構成のビジネス書は即効性を得たい時にオススメ。パラパラと読めば、短時間でざっくりとその物事を理解することができるからです。
そして、より理解を深めたい時にはじっくりと腰を据えて読む、本書のような構成がオススメです。
まとめ
私は本書を読んで「自分の仕事のスタンスの取り方」「人との接し方」について改めて考えるきっかけとなりました。
翻訳本ですが、それを感じさせない文章で違和感なく読み進められるのもポイントの一つ(訳者の力量も感じさせられます)。
そんな本書「1兆ドルコーチ」はビジネスパーソンなら一度は読んでほしい1冊です。