【書評】なぜ、あなたの仕事は終わらないのか / 仕事の生産性を上げたいあなたに心からおすすめしたいビジネス書

残業中の女性

 

仕事が終わらない構造

Aさんは月曜日に上司から企画書の作成を頼まれました。提出の〆切は同じ週の金曜日の朝。2日程度あればできる仕事だと見積もり、初めの数日間は他の仕事を優先し手を付けませんでした。

いよいよ水曜日から企画書の作成を始めるAさん。ですが、そんな時に限って電話や突発的な仕事が発生し思うように進められません。
木曜日も必死に仕事を進めますが、メールや緊急の打ち合わせにジャマをされてしまいます。遅くまで残業して作成を進めましたが、どうやら完成まではほど遠い状況です。

そして金曜日の朝、上司から企画書の進捗を尋ねられるAさん。
しどろもどろで言い訳をし「実は間に合いません」と、〆切の延長を申し出ます。

仕事が終わらないのはラストスパート思考のせい

この状況に似た例として「夏休みの宿題」があります。
2か月も休みがあるから遊んでばかり。そして最後の1週間は宿題付けになってしまう。

同じ経験をした人は結構多いのではないでしょうか。
どうやら私たちの多くは「最後に本気を出せば何とかなる(=ラストスパート思考)」という考えを持っているようです。

ロケットスタート時間術で仕事を片付ける!

Photo by Braden Collum on Unsplash

ここまで偉そうに書いてきましたが、Aさんの事例は私が実際にやらかしてしまったことでもあります(もちろん、最後はめちゃくちゃ怒られました…)。

会社からは生産性を上げろと言うが仕事の量は減らないどころか増えていくばかり。
そんな私の悩みを解決してくれたビジネス書を紹介します。

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著者は中島聡氏。マイクロソフト本社でビル・ゲイツとともに働いた経歴を持つプログラマーです。Windows95の開発に携わり、右クリックやドラッグアンドドロップといった概念を生み出した人物です。
本書では著者の仕事の進め方「ロケットスタート時間術」を解説した内容です。

今回は本書の中からすぐに使える2つのエッセンスを紹介します。

〆切は絶対に守るものと考える

まず「〆切は絶対に守るもの」と考える必要があります。そう心に決めるだけでも仕事の質が変わるといいます。

「そんなこと言っても予定はあくまでも予定だから期限が遅れても仕方がない」

「突発的なことは起きるし、予測がつかないのが実際のところ」

「そもそも上司の〆切の設定が厳しすぎる」

当然、このような感想を持つ方が大半だと思います。
では具体的にどうするのかというと、「自分で〆切を決めて」仕事をすればいいのです。

「2:8の法則」で仕事を進める

自分で〆切を決めるためには「2:8の法則」を前提に物事を進めていきます。
2:8の法則とは「初めの2日で仕事の完成度を8割までもっていくこと」です。
はじめの2日は全力で仕事を進めます。それで8割の完成度に持っていければ期限通りに仕事を進めていく。それができなかった場合は仕事の見積もりを改める必要があります。依頼者に期限の延長や増員応援の要請をします。

そんなことをしたら怒られるのではと思いますが、仕事を依頼する側の見積もりも案外適当なことが多いものです。
〆切直前でなければ心証も悪くならず、受け入れてもらえる可能性が高いといいます。

ただのハウツー本では終わらない

本書ではどのように「ロケットスタート時間術」を始めればいいか。実際に仕事を進める際のスケジュール設定の仕方など具体的なノウハウを知ることができます。

とは言っても時短術がいくつも羅列されている本ではありません。
学生時代からマイクロソフトで活躍していたころの仕事の進め方や「時間」に関するエピソードが半分を占めます。実際の仕事にどう生かせばいいのか具体的にイメージすることができます。
今の仕事がうまくまわっていないと感じる人。早く仕事終わらせてプライベートを充実したい!という人におすすめの1冊です。

最後に、数あるエピソードの中で私が印象に残ったエピソードを1つだけ紹介させてください。

花さえ用意できれば、裏で昼寝していてもいい
たとえばあるパーティーがあるときに、ビル・ゲイツがあなたに花を用意してほしいと頼んだとします。あなたは花屋に電話をし、パーティー会場に花束を届けるように注文します。しかしパーティー当日、花屋から雪のせいで配達が遅れるという電話がきます。あなたは花が遅れるという旨をビル・ゲイツに伝えます。こういうとき、彼は尋常じゃないほど怒ります。
(中略)
あなたの任務は花を用意することです。花さえ用意できれば、パーティー会場の裏で昼寝をしていてもいいのです。だからこそ花は絶対に用意しなければならない。花屋に注文をすることは任務の一部でしかありません。言い訳をする人はそこを勘違いしています。(「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」p73より)

「仕事を終わらせること」が私たちの仕事です。
早く仕事を終わらせて毎日を楽しんでいきましょう!

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